赤十字・赤新月・赤水晶の違いとは?標章の歴史とイラン・イスラエルの事情を整理

赤十字、赤新月、赤水晶は、いずれも人道支援の現場で医療要員や救護活動を示し、守るための正式な標章です。現在の国際赤十字・赤新月運動では、この3つが認められています。
詳しくは、ICRCの標章解説で確認できます。
この記事では、標章の違い、歴史の流れ、イランとイスラエルに関わる事情を順に整理します。
赤新月社について簡単に解説した記事はこちらになります。時間が無い方は、
▶赤新月社とは?イランのニュースで見かける理由と赤十字との違い
をご覧ください。
目次
赤十字・赤新月・赤水晶は何が違うのか
標章の形が異なる
赤十字は赤い十字、赤新月は赤い三日月、赤水晶は赤いひし形です。
形は異なりますが、国際法上は同じ機能を持つ標章として扱われています。
赤水晶は2005年に採択された
赤十字と赤新月は長く使われてきた標章です。
赤水晶は2005年に採択され、2007年に発効した第三追加議定書によって制度化されました。
条約の内容は、ICRCの第三追加議定書で確認できます。
赤十字の由来と赤新月が広がった背景
赤十字はスイス国旗の配色を反転した標章として説明されている
赤十字の標章は、一般にスイス国旗の配色を反転したものとして説明されます。
ジュネーブ諸条約でも、その趣旨が示されています。
オスマン帝国の使用をきっかけに赤新月が広がった
19世紀後半、オスマン帝国は十字の標章が自国の兵士に受け入れられにくいとして、赤新月を使うようになりました。
その後、イスラム圏の国々で赤新月が広がっていきます。
詳しくは、ICRCの標章利用の解説を参照してください。
イランの標章の歴史
かつては赤獅子太陽が使われていた
イランでは、現在の赤新月とは別に、かつて「赤獅子太陽(Red Lion and Sun)」という標章が使われていました。
これは現在は使われていませんが、歴史上認められていた標章のひとつです。
現在の各国社はイラン赤新月社
現在のイランでは赤新月が使われています。
日本赤十字社の各国社一覧でも、イランは赤新月社として掲載されています。
各国社名は、日本赤十字社の世界の赤十字社一覧で確認できます。
イスラエルと赤水晶の関係
ダビデの赤盾は正式標章ではない
イスラエルの各国社は「マーゲン・ダビド・アドム(Magen David Adom)」で、日本語では「ダビデの赤盾社」と呼ばれます。
ただし、ダビデの赤盾そのものは、赤十字・赤新月・赤水晶のような国際的な正式標章としては認められていません。
赤水晶の導入で国際的な活動の枠組みが整った
赤十字でも赤新月でもない中立的な標章が必要とされた背景には、イスラエルの事情もありました。
赤水晶の導入によって、イスラエルの各国社は国際的な枠組みの中で活動しやすくなりました。
詳しくは、ICRCの標章解説を参照してください。
なお、赤水晶は単独で使われるだけでなく、条件を満たす場合には中に別の印を表示して用いられることもあります。
条文は、ICRCの条約データベースで確認できます。
標章の違いは何で決まるのか
宗教だけでは決まらない
標章の違いは、宗教だけで決まるわけではありません。
たとえばインドネシアはイスラム教徒が多い国ですが、各国社はインドネシア赤十字社です。
詳しくは、IFRCのインドネシア赤十字社ページを参照してください。
歴史と制度の積み重ねが現在の標章につながっている
どの標章を使うかは、その国の歴史、制度、社会の中での受け入れられ方によって決まってきました。
各国社の名称を確認したい場合は、IFRCの各国社ディレクトリや日本赤十字社の各国社一覧が役立ちます。
まとめ
赤十字、赤新月、赤水晶の違いは、形の違いだけでなく、それぞれが定着した歴史が背景にあります。
なお、現在の赤新月社について簡単に説明した記事はこちらです。
▶赤新月社とは?イランのニュースで見かける理由と赤十字との違い

