スーパー戦隊シリーズが終了する理由は○○○。数字から見たビジネス展開の限界

スーパー戦隊シリーズはなぜ終わるのか?歴史と数字から読み解く50年の幕引き

この記事では、報道の真偽だけでなく、制作スケジュール・売上データ・海外展開を分析し、シリーズ終焉の理由を考察しました。
公式発表はまだですが、報道によるとやはりシリーズ終了となりそうです。経費がかかる割に玩具売上が伸びにくいビジネス戦略が足を引っ張る形になり、今回の再編となったようです。

目次

50年続いたスーパー戦隊シリーズに「終了報道」が!

2025年10月30日、共同通信が配信した独自記事が日本中に衝撃を与えました。

「スーパー戦隊シリーズ、放送終了へ テレ朝、半世紀の歴史に幕」

出典:47NEWS(共同通信)

記事は、現在放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』をもってシリーズが終了すると報じています。1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』から続いた半世紀の歴史が、ここで区切りを迎える可能性が示された形です。

半世紀続いた「ニチアサ」の象徴が揺らぐ

スーパー戦隊は、毎年2月に新作が始まり1年で完結する日本のテレビ文化のサイクルを体現してきました。子どもにとっては等身大のヒーロー、親にとっては世代をつなぐ記憶。それが終わるかもしれないという報道は、ファンのみならず業界にも波紋を広げています。

公式発表は「沈黙」、それでも異例が積み重なる

現時点(2025年10月末)で、テレビ朝日・東映・バンダイはいずれも終了を明言していません。ただし、例年なら見えるはずの次年度作品の兆候が一切確認できない状態です。

  • 商標登録の公開情報
  • 撮影開始の目撃情報
  • 玩具カタログやティザーの流出

すなわち「否定がない沈黙」自体が最大の異変と言えます。

単なるニュース紹介ではなく、制作スケジュールの異変売上データに表れる収益性の限界海外展開の失速まで横断的に検証し、なぜ今シリーズが終わるのかを読み解きます。

制作スケジュールの異変と商標未登録の事実

スーパー戦隊シリーズは、毎年2月頃の放送開始に合わせて、厳密にスケジュールが組まれています。例年の制作スケジュールを時系列で見ると、すでに2025年11月時点で「次作の兆候」が見えないのは極めて異例です。去年は11月には話題に上がっていただけに、ファンの間では動揺が走っていました。

通常の制作スケジュール(例年の流れ)

時期 工程 内容
8〜9月 タイトル商標登録 東映が次年度シリーズの商標を特許庁に出願し、タイトルが判明。
10〜11月 キャスト決定・撮影開始 メインキャストが決まり、パイロット版(第1話)の撮影が始まる。
12月 玩具カタログ流通・リーク バンダイの新玩具ラインナップが小売に配布され、SNSで画像流出。
1月中旬〜下旬 制作発表・記者会見 新シリーズが公式発表され、メディア取材・玩具販促が始まる。

このように、通常であれば前年の秋には次作の存在が確認できます。しかし、2025年11月上旬現在――

  • 商標登録が出願・公開されていない
  • 撮影開始の目撃情報が一切ない
  • 玩具カタログの流出や玩具ブログの更新がない

これらすべてが「存在しない」のは、シリーズ開始以来初の異例事態です。特に商標出願情報は、過去10年以上にわたって毎年のように確認されており、ファンやメディアが次作タイトルを予測する定番の指標でした。

目撃情報から見る“異常な静けさ”

参考までに、前年(2024年)の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』では、すでに12月下旬の時点で複数の撮影目撃ツイートが確認されています。

「つくばのセンタービルで、2月スタートのゴジュウジャーのロケを目撃。」
@ISSY-RIDER, 2024年12月28日投稿

「ゴジュウジャーの撮影現場に遭遇。変身シーン撮影中だった。」
@ヒロマル, 2024年12月30日投稿

このように、前年末には「次作の動き」が明確に観測されていました。それに対して、2025年11月時点で一件の目撃すらないのは、制作が実質的にストップしているか、存在しないのか?

それとも、まだ11月だから外での撮影が無いのか?12月に入ったら情報が出てくるのか?これは、推移を見守りたいです。

物理的に“次作”が成立しないタイミング

もし2026年2月に放送を開始する予定であれば、すでに撮影・編集・販促すべてが動いていなければ間に合いません。すなわち現時点で動きがないということは、「制作自体が凍結または終了している」と見るのが自然です。

この“制作空白”こそ、単なる噂を超えて「終了報道の信憑性」を裏づける最大の証拠です。

終了の理由は「収益性」の限界。売上データで見る戦隊の衰退

スーパー戦隊シリーズの終了報道の背景には、「視聴率」の問題よりも深刻な「ビジネス構造の限界」があります。特に、バンダイの玩具売上データはその実態を如実に示しています。

バンダイ主要シリーズ別 売上高比較(単位:億円)

シリーズ名 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 見込み
ガンダム 1457 1535 1600
ドラゴンボール 1406 1906 1500
ワンピース 1121 1395 1400
仮面ライダー 315 307 280
プリキュア 64 79 85
スーパー戦隊 65 64 65
アンパンマン 101 114 120
ウルトラマン 191 140 135
NARUTO 253 269 200

上記の通り、スーパー戦隊シリーズの売上は仮面ライダー(307億円)やプリキュア(79億円)を大きく下回り、長期的に横ばい〜微減を続けています。東映・バンダイにとって、もはや「採算が取れるブランド」ではなくなっているのが現実です。

戦隊シリーズ別 玩具売上の推移(2000年代以降)

放送年 作品名 売上高(億円)
2010 天装戦隊ゴセイジャー 92
2011 海賊戦隊ゴーカイジャー 130
2012 特命戦隊ゴーバスターズ 96
2013 獣電戦隊キョウリュウジャー 144
2014 烈車戦隊トッキュウジャー 113
2015 手裏剣戦隊ニンニンジャー 78
2016 動物戦隊ジュウオウジャー 86
2017 宇宙戦隊キュウレンジャー 91
2018 ルパンレンジャーVSパトレンジャー 60
2019 リュウソウジャー 60
2020 魔進戦隊キラメイジャー 45
2021 機界戦隊ゼンカイジャー 44
2022 暴太郎戦隊ドンブラザーズ 56
2023 王様戦隊キングオージャー 54

シリーズのピークは2013年の『キョウリュウジャー』(144億円)。以降、売上は右肩下がりとなり、直近では40〜50億円台に留まっています。10年前の半分以下という水準です。

数値は以下のYouTube『【悲報】スーパー戦隊、終わる』より引用しました。

戦隊だけが沈んだ理由

  • 玩具単価の上昇と少子化による対象層の減少
  • 変身ギミックの複雑化により、リピート購買が減少
  • 仮面ライダーやポケモンなど「単体ヒーロー」IPにシフトした消費傾向

特に、「戦隊=5人チーム」という構成は、全員分の玩具を揃えるハードルが高く、現代の親世代の購買行動と噛み合わなくなってきています。

項目 仮面ライダー プリキュア スーパー戦隊
主役構成 単独(または2人) 複数(固定チーム) 5人チーム
主玩具 変身ベルト(高回転アイテム) 変身アイテム+衣装 合体ロボ+チーム武器
玩具購入のしやすさ 1つ買えば完結(ベルトのみで満足度が高い) 単品でも成立 5体・5武器など複数必要(合体ロボ依存)
収益の効率 高単価のベルトで初期に回収し、周辺アイテムを多数販売する高効率モデル。 玩具単価は低いが、キャラクターグッズや映画で多角的に収益を上げる。 高額な合体ロボに極度に依存し、販売サイクルの長期化や在庫リスクにより収益効率が低い。
構造的なコスト 低(スーツアクター、変身アイテムの型、撮影費) 中(アニメ制作費、衣装の型) 高(チーム人数分のスーツ、合体ロボの複雑な金型、特撮費用)

つまり、スーパー戦隊は「高額な合体ロボの売上」に極度に依存し、なおかつ「チーム人数分の制作コスト」がかかるという、玩具ビジネスとして成立しづらい「高コスト・低販売効率」の構造的限界に達していたと言えるでしょう。

国際展開の限界も・・・。パワーレンジャー撤退が示した世界的リスク

スーパー戦隊シリーズの海外版にあたる『パワーレンジャー』は、長らく日本発の特撮IPとして世界的に人気を博してきました。しかし、その国際ビジネス構造にも限界が訪れています。2024年にアメリカの玩具大手 Hasbro(ハズブロ) が下した決断は、シリーズの国際的収益モデルの終焉を象徴するものでした。

Hasbroによる「玩具事業アウトソース」の事実

項目 詳細 補足
主体 Hasbro(ハズブロ) 2018年に東映・バンダイから『パワーレンジャー』のIP権を取得。
決定内容 玩具製造・販売権を外部企業にライセンス供与 2024年4月、Playmates Toys社とグローバル契約を締結。
実質的意味 HasbroはIP権を保持しつつ、自社での玩具製造から撤退。 「収益性の低い事業」として事実上の縮小を意味する。

つまり、Hasbroは『パワーレンジャー』のIPは手放していないものの、玩具ビジネスとしては見切りをつけたということです。これは、単に一ブランドの撤退ではなく、「戦隊フォーマット」自体の商業的限界を示唆しています。

利益率の低下とCEOの発言

HasbroのCEOクリス・コックス氏は、2024年第1四半期の決算説明会で次のように明言しました。

“The Power Rangers line did not meet our profitability thresholds, and we decided to shift to a licensing model.”
(『パワーレンジャー』の玩具ラインは、当社が求める利益率の閾値を満たさなかったため、ライセンス事業に移行する決定をした。)

参考:Hasbro Admits Recent Playmates Deal Motivated By Lack Of ‘Power Rangers’ Profits: “We’re Basically Done Without Licensing”

世界的な玩具大手ですら「利益が出ない」と判断するほど、このブランドは厳しい状況にありました。特にアメリカでは、ターゲット層の年齢低下やYouTube・Netflixなどの競合IP台頭により、戦隊型シリーズが視聴・購買両面で苦戦していました。

世界市場での収益性比較

2020年代以降、米国市場における「アクションフィギュア」カテゴリ全体の売上は縮小傾向にあります。NPDグループの調査によると、2024年時点で前年比-7%、市場規模は約30億ドル。『パワーレンジャー』はその中でも低シェアにとどまっています。

日本への影響~海外撤退は国内継続を困難に

東映・テレビ朝日・バンダイの三社にとって、『パワーレンジャー』はスーパー戦隊を海外に輸出し、収益を拡大する“第二の市場”でした。その出口が事実上閉ざされたことで、「国内で採算を取るしかない構造」となり、結果的にシリーズ継続の判断に大きく影響したと見られます。

つまり、「戦隊=世界で戦えるIPではない」という現実が、シリーズ終了報道の背景にはあります。

後継番組の動きは?ユニバースヒーローズ説と編成再編

シリーズ終了報道が出る中で、注目されているのが「次に何が来るのか?」という点です。東映・テレビ朝日は特撮枠(通称:ニチアサ)を完全に手放すことは考えにくく、さまざまな「後継番組」の噂や再編案が浮上しています。

報道・噂・ファン考察の3層構造

カテゴリ 内容 備考
後継番組の噂 「刑事モノの特撮ヒーロー」番組を新設との報道。テレビ朝日の得意ジャンル(『相棒』『特捜9』など)を生かした構成。 スーパー戦隊の“5人組”フォーマットからの脱却。
メタルヒーロー復活説 「刑事モノ」という情報から、『宇宙刑事ギャバン』などを代表とする80〜90年代の東映特撮シリーズ「メタルヒーロー」の復活説が浮上。 東映が過去の資産を再活用する可能性。
アニメ枠への転換説 戦隊枠を東映アニメーションの新作(例:『魔法騎士レイアース』リメイク)に置き換える可能性。 2026年放送予定の新作アニメプロジェクトが存在。

新シリーズ名の噂:「ユニバースヒーローズ」

2025年11月以降、X(旧Twitter)上では「ユニバースヒーローズ(Universe Heroes)」という名称が拡散されています。発端となったのは海外特撮ファンアカウント @TokuRed による投稿。

“Next Year Universe Series in 2026 (From Super Sentai)”
― @TokuRed(2025年11月1日投稿)

この「UNIVERSE」シリーズは、ファンの間で「UNIted VERsion of SEntai(統合型戦隊)」という意味を持つのではないかと解釈され、歴代戦隊を“ひとつの宇宙”でまとめる新構想と目されています。

また、「ユニバースヒーローズ」は2026年放送予定とされる一方で、公式発表はまだなく、噂の域を出ていません。しかし、過去にも『ルパパト』や『ゼンカイジャー』発表前に類似リークが的中した経緯があり、今回も注目度が高まっています。

ニチアサ編成の再構成案

現在、テレビ朝日の日曜朝は「プリキュア → 仮面ライダー → スーパー戦隊」の特撮・アニメ3本立てで構成されています。この構成に関して、ネット界隈では以下の3案が取り沙汰されています。

  1. 仮面ライダー枠の拡大:ライダーを60分番組化し、特撮枠を統合。
  2. 新特撮シリーズへの置き換え:『ユニバースヒーローズ』や宇宙刑事モノを導入。
  3. アニメ枠への転換:『プリキュア』+新アニメによるファミリー路線強化。

東映・テレ朝・バンダイの三社が連携しているニチアサ枠は、玩具と映像の複合マーケティングの中心に位置します。そのため、完全撤退よりも「ブランド再編」や「新フォーマット導入」の可能性が高いと考えられます。

追記:速報では刑事物らしいです。

 現在放送されている『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』が、戦隊シリーズ最後の作品となりそうだ。気になるのは後継番組が制作されるのかということだが、どうやらすでに、新番組の制作チームは動き出しているようだ。

「“特撮ヒーロー”という軸は変えずに、物語や登場人物の構成を大きく変える方向だといいます。放送中の『ゴジュウジャー』が終了してすぐ、来年2月からの放送を目指しており、すでにオーディションも始まっているそうですよ」(制作会社関係者)

引用:【独自】『スーパー戦隊シリーズ』が50年の歴史に幕、後継番組はテレ朝“オハコ”の刑事モノ設定の特撮ヒーローに! | 週刊女性PRIME

戦隊の“魂”を受け継ぐ存在が

「ユニバースヒーローズ」という名前が仮に実在するとすれば、それは単なる後継ではなく、“戦隊という概念の再構築”を意味する可能性があります。50年という節目を経て、時代に合わせた「特撮のリブート」が始まるのかもしれません。

「UNIVERSE」リークの正体は、玩具ブランドだった?

ここまで「ユニバースヒーローズ」あるいは「UNIVERSE Series」と呼ばれる次期シリーズの噂を検証してきましたが、
その「UNIVERSE」という名称が、実はすでに別の形で現実化していたことが判明しました。

公式発表:「DXROBO UNIVERSE」ブランド始動

2025年10月19日、バンダイ公式サイトにて『DXROBO UNIVERSE(ロボ・ユニバース)』が正式に発表されました。
この新ブランドは「長い歴史を誇るスーパー戦隊シリーズより」と明記され、
過去の戦隊ロボと現行玩具を横断的に遊べる“戦隊ロボ再編プロジェクト”として始動しています。

「スーパー戦隊シリーズ」より『DXROBO UNIVERSE』が始動!
歴代戦隊ロボと組み合わせて遊べる、新たなブランド展開を開始。

これは単なる玩具シリーズではなく、“スーパー戦隊のロボ文化”を引き継ぐ新たなIPラインであり、
シリーズ終了報道と時期が重なったことから、「UNIVERSE」という名称の噂との関連が注目されています。

噂の「UNIVERSE Series」と一致する要素

要素 リーク情報(@TokuRed他) 公式「DXROBO UNIVERSE」
名称 「UNIVERSE Series」または「UNIted VERsion of SEntai」 「DXROBO UNIVERSE」
タイミング 2025年11月初頭に拡散 2025年10月19日公式発表
テーマ “歴代戦隊を統合・再構築” “歴代戦隊ロボの統合・連動遊び”
発信元 海外ファン(リーク/噂) バンダイ公式

両者の発表時期とキーワードの一致から、ファンの間では
「UNIVERSE Seriesのリーク=DXROBO UNIVERSEの先行情報だったのでは」
という見方が浮上しています。
つまり、当初は「新しいテレビシリーズ」だと思われていた噂が、実際には“玩具ブランドの刷新”を指していた可能性が高いということです。

ゴジュウジャーとの連動が意味すること

さらに、2025年2月発売の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』最新アイテム「DXリョウテガソード&DXテガソードセット」 の商品説明には、「DXROBO UNIVERSEシリーズとも組み合わせて遊べる」と明記されています。

「これまでに発売されたゴジュウジャーのメカやセンタイリング各種、DXROBO UNIVERSEシリーズとも組み合わせて遊べる!」
引用:DXリョウテガソード&テガソード ゴジュウジャー最強No.1セット | スーパー戦隊おもちゃウェブ|バンダイ公式サイト

これは、『ゴジュウジャー』が「スーパー戦隊」と「UNIVERSE」ブランドを繋ぐ橋渡し作品として機能していることを意味します。
シリーズの終焉ではなく、番組と玩具ラインの“次の世代への引き継ぎ”が進行している可能性があります。

「UNIVERSE」は終焉ではなく、再構築のキーワード

共同通信が報じた「スーパー戦隊シリーズ終了」は、形式的には事実かもしれません。
しかし、“UNIVERSE”というキーワードの登場は、単なる終わりではなくブランドと世界観の再編を示唆しています。

「UNIVERSE=新しい戦隊のかたち」

それは、半世紀をかけて育まれた戦隊文化を、新時代のフォーマットで再構築するためのプロジェクトなのかもしれません。

他シリーズと比較。仮面ライダー・プリキュアと戦隊との構造的な差

スーパー戦隊シリーズの終了(あるいは再編)は、単に番組の人気低下だけでは説明できません。
背後には、玩具の販売構造・コスト設計・SNS上の話題性の「三重構造」が存在します。

1. 変身・武装アイテムの価格構造

まず、主要3シリーズの主力玩具価格を比較します。
かつては「仮面ライダー=高単価」「戦隊=安価」とされていましたが、実際の市場価格を見ると、より複雑な構造が見えてきます。

シリーズ 主玩具 価格帯(税込) 購買構造 年間トータル支出傾向
仮面ライダー 変身ベルト「DXゼッツドライバー」 約6,000円(+フォームアイテム 1,500〜3,000円) 単体で完結。ただし拡張パーツを複数購入する継続モデル。 年間約10,000〜15,000円
プリキュア 変身コンパクト・コスチューム玩具 約3,000〜5,000円 単品完結が多く、年齢層に応じて映画グッズ・衣装が追加。 年間約6,000〜10,000円
スーパー戦隊 合体ロボ「DXテガソード」+武器・センタイリング 3,850円(単品)〜15,000円(ロボ+武器+連動セット) 5人分のアイテム+合体ロボ構成。複数購入が前提。 年間15,000円超(シリーズ内最大)

つまり、単価では仮面ライダーが上ですが、総額ではスーパー戦隊の方が高額化しやすい構造です。
チーム制のため、子ども一人でも「全員揃えたい」欲求が働くことが、販売の根幹を支えてきました。

2. SNSでの話題量(Xポスト数)

次に、各番組が放送開始の翌月にX(旧Twitter)上でのポスト数を比較します。なお、このデータはXのチャットAI「Grok」で番組に関係するハッシュタグを調べてポスト件数を概算したものです。

シリーズ 放送開始翌月の月間投稿数 2025年11月現在のポスト全体の傾向
仮面ライダーゼッツ 約22,645件(2025年10月)
  • ポスト内容の傾向: エピソード感想(45%)、玩具レビュー(30%)、ファンアート(15%)、その他(10%)。アクションと玩具が特徴。
  • ポスト数増加の原因: 放送(40%)、玩具売上(30%)、国際展開(15%)、ファン活動(10%)、季節要因(5%)。
キミとアイドルプリキュア♪ 約17,150件(2025年3月)
  • ポスト内容の傾向: エピソード感想(40%)、玩具レビュー(25%)、音楽/ライブ(20%)、ファンアート(10%)、その他(5%)。音楽テーマが特徴。
  • ポスト数増加の原因: 放送(40%)、玩具発売(20%)、映画/ライブ(20%)、ファン活動(15%)、季節要因(5%)。
ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 約9,800件(2025年3月)
  • ポスト内容の傾向: エピソード感想(40%)、玩具レビュー(30%)、ファンアート/議論(20%)、その他(10%)。50周年と騒動が特徴。議論の内、不倫・シリーズ終了のネガティブコメントが各20%。
  • ポスト数増加の原因: 放送(35%)、玩具売上(25%)、ファン議論(20%)、50周年効果(15%)、季節要因(5%)。11月は噂とイベントで3万件超えの可能性あり。

戦隊シリーズの投稿数は他シリーズに比べ少ないですが、これは玩具よりも物語・俳優層中心のファン層が多く、投稿傾向が「イベント集中型」であることに起因しています。
とはいえ、UNIVERSEリーク後には投稿数が急増しており、ブランド再編に対する注目度が高まっているのが分かります。

3. 収益構造の分岐点:売上・話題・コストのトリレンマ

バンダイのデータ(2025年3月期)を見ると、仮面ライダー307億円、プリキュア79億円、スーパー戦隊64億円。数字だけを見れば戦隊は苦戦していますが、販売コスト・玩具点数・販促費の高さが収益性を圧迫している側面もあります。また、SNS上の投稿数ではライダーとプリキュアが優位。

すなわち、戦隊は「購入総額は多いが、SNS露出・周知力では劣る」ビジネス形態がシリーズの持続性を難しくしています。

スーパー戦隊の“構造疲労”とUNIVERSEへの必然

以上の比較から見えてくるのは、スーパー戦隊が抱える構造的なジレンマです。

  • 5人分の玩具とロボの複雑構成による高コスト体質
  • SNSや配信時代への話題拡散力の弱さ
  • 単年度リセット型フォーマットによる長期IP育成の難しさ

そのすべてを打破するための答えが、バンダイが提示した「DXROBO UNIVERSE」=統合ブランド構想なのかもしれません。
終了ではなく、“再構築による救済”――それが、戦隊50年の次なるステージです。

スーパー戦隊は終わらない。50年の区切りと、新たな「UNIVERSE」へ

2025年10月に報じられた「スーパー戦隊シリーズ終了」のニュースは、ファンにとって衝撃的な見出しでした。しかし、その背景を数字・市場・編成・玩具戦略の観点から紐解いていくと、そこに見えてくるのは「終焉」ではなく“構造の転換点”です。

ビジネス面では「限界」、構想面では「再構築」

バンダイのデータが示すように、スーパー戦隊の年間売上は64億円。一方で仮面ライダーは300億円超、プリキュアも80億円前後と堅調です。チーム制・合体ロボ・多人数玩具といった高コスト構造が、令和の市場では限界を迎えていました。

その構造的疲労を見越して、東映・バンダイ・テレビ朝日が模索したのが、「UNIVERSE」という再編構想。DXROBO UNIVERSE の発表はその一歩であり、玩具・世界観・ブランドの再構築を通じて“戦隊のDNA”を次世代へ引き継ぐ戦略です。

世界的な潮流と「戦隊文化」の再定義

海外では、Hasbroが『パワーレンジャー』の玩具事業をPlaymatesに委託し、「利益率が合わない」ことを理由に撤退しました。これは単なる経営判断にとどまらず、世界的に“戦隊フォーマットの再定義”が必要な時代に入ったことを象徴しています。

日本の戦隊が果たしてきた「チームで戦うヒーロー」という理念は、個の時代にもなお魅力を持ち続けています。
その理念を守るために、名称や形態を変えて存続していく、それが「UNIVERSE」という名に込められた再生のキーワードなのです。

ファンにとっての“終わり”と“始まり”

1975年『秘密戦隊ゴレンジャー』に始まり、50年の歴史を刻んだスーパー戦隊。無数の子どもたちが“名乗り”に胸を高鳴らせ、無数の大人たちが“レッドのリーダー像”に憧れた文化遺産です。

『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』がその集大成として幕を下ろすならば、それは“終わり”ではなく“継承の儀式”です。そして次のステージ、「DXROBO UNIVERSE」「ユニバースヒーローズ」へと、形を変えながらも、その遺伝子は確実に受け継がれていくでしょう。

今後の注目ポイント

  • 2025年12月〜2026年1月の間に行われる東映・テレ朝の正式発表。
  • 「DXROBO UNIVERSE」シリーズの第二弾発表と映像展開の有無。
  • 「ユニバースヒーローズ」が新ブランド/番組名として使用されるか。

スーパー戦隊が終わるのではなく、拡張される未来。
その始まりを、私たちはいまリアルタイムで目撃しているのかもしれません。
スーパー戦隊は、終わらない。
それは、形を変えて「UNIVERSE(宇宙)」へと続いていくのです。

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